2007/04/26

はじめに

矢口 新(1913—1990)
新は「はじめ」と読む。
教育学者である。
研究室で文献に埋もれて研究するというのではなく、
常に現場で教育を創造し、実践し続けた人である。

今日、矢口新を知る人はほとんどいない。
教育の世界で彼の業績を取り上げる人はいない。

「30年早すぎた男」といわれた。
現在教育の現場で問題にされていること、
それらを30年前に見通して、
その解決の方向を提案、研究していた。
学力問題,総合学習,協調学習
Eラーニング,シミュレーション
現場力,論理思考力
コミュニケーション力
そして脳の働き

「今、生きているか」が口癖だった。
「今生きている場」の中で「生きるための要素」をとらえ
その力を磨く学習=行動をする。
行動するのは、学習者自身。
「教育」ではなく「学習」でなければならないと言い続けた。

現実の場から教育を考える。
それは現実をそのまま肯定するということではない。
「今ある姿」をもとに「あるべき姿」を構想し、
そこにいたる道を創り出していく。
創り出すための方法は「脳行動学に基づく行動分析」。
「脳の働き」をとらえて「脳の働かせ方」を工夫する 。
 
脳行動学(学問として認知されていないかもしれない)、
彼の前にそうしたものの見方をしている人を知らない。
(浅学ゆえかもしれないが・・・) 

いまなぜ矢口新を取り上げるのか…

矢口新が示した方向、創り出したもの、
それらの中にこれからの教育の向う道があると私は感じている。
まだまだその全貌はとらえられないが、
矢口新の仕事を掘り起こしていきたい。